「どうする。こんな道のまん中じゃ生臭いにも程がある」



 千葉は滋賀の足を踏みながら言った。


 人が目の前で死んだのに。こんなにも冷静な千葉が恐ろしい。


 それを言ったら僕もなのかもしれない。

 こんなにも真っ赤な手で普通に皆と会話を重ねているのだから。


 真っ赤な手で髪の毛を上げた。そのせいで顔にも血がついてしまった。


「千葉っ…あんたよくそんな冷静にいられるよ」


 宮城は滋賀(もうすでに死体だ。)から目を離している。一般人ならもうすでに吐いているレベルにグロテスクだ。



「そうか。これでも俺は動揺しているんだが」


「とてもじゃないけど、そうは見えないよ」


 山口は肩を押さえながら言った。微かに震えているのがわかる。


皆動揺している。



特に動揺しているのは勿論葵さんだ。