劣等審判

「いやいやもう嫌だ!!」


 どうしたんだいきなり。宮城の様子がおかしい。



「なんなのよ!!何でこんなんなのよ!!」


 僕が聞きたい。どうしてこんなことをしなければいけないのか。わからない。



「嫌だ。嫌だよ」


 僕だって嫌だ。でもやらないとダメな気がする。



「どうして、なの」


 葵さんが声を出す。優しい声だ。


「何かあるんじゃないの?」


 宮城は葵さんと一瞬目を合わせるとすぐに反らした。



「関係…ないでしょ」



 声が震えている怯えているような、声だ。



 何か隠しているんだ。宮城は。



「関係あるだろ。それで悪人かも判断できるかも」


「そんなことむりよ千葉にはね」



 それからしばらく宮城は黙ったままだった。