開かないはずの図書館の扉が開いた。


入ってきたのは茶髪のセミロングの女。

ブレザーにこの学校の校章をつけている。

この学校の生徒か。

「お疲れ」

女はこのゲームのことを知っているようだった。
まあ、知らなかったら死体を見てお疲れなんていうわけないが。

しかし、この声どこかで聞いたことのある声だった。

「私のこと、分からないかな?」

首をかしげ、二重の綺麗な目で聞いてくる。

「わかり、ません」

なんだかすこし怖かった。あまりにも綺麗すぎて、罪なんて何も無さそうな目で。

「怖がらないで? 罪なんてあるよ。じゃぁ、これを言えばわかるかな?」

ナチュラルに僕の心を読んでいる、よけい怖くなる。

「自分に素直になりなさい?」

この言葉。あれだ。耳の後ろから聞こえてくる、あの声だ。

「分かった? 私ね、実は20年前のゲームの勝者なんだ。悪人で♡」

え?何で、なら何で見た目が変わっていない。

20年前だったら、もう今は30代後半なはずだ。

それなのに。

「あのさ、このゲームの勝者は願い事叶えてくれるって知ってるよね?」

そうだ。生きることに精一杯で少し忘れていた。

「だから、何でも出来るようになりたいってお願いしたの!」