幼なじみとあたしの関係

「入って」


階段を上りきると、あたしはすぐに向かって左側にあるドアを開けて、次郎に先に部屋に入るよう促した。


別に次郎が客だからってわけじゃない。


全ては、7年前にはまだ我が物顔でドアにしがみついてはいなかった、

あまりにも可愛らしすぎて、恥ずかしすぎる看板を見られないようにするため。


看板は、何重にもなったレースで縁取られているピンクの楕円形の小さな板に、ほぼ丸じゃないかと言いたくなるような字体で

『atsuko's room』

と書かれているというどうしようもなく可愛らしい代物だった。


日本語にすると、『厚子の部屋』。


一文字違い…

ひらがなにしても一文字違い…


そりゃ、たしかにその通りだから仕方ないけどさぁ。


.