教室に入るともうすでにグループが出来上がりつつあった
初等部の頃からこの学園にいる子達のグループと、新しく入ってきた子達のグループ

僕は取り合えず教卓の上にある座席表で自分の席を確認した後席につく

いい忘れたが、今の僕の格好は女子そのものである

何故そうなのかというと、僕のこの内気な性格のせいでもあった
これで男だと確実にいじめられる、もしくはパシられる
それを心配した両親によって女装入学をすることに決まったのであった

まぁ、これはこれで助かっているのかもしれない
小学校の頃から女っぽい容姿と性格でいじめられていたからな…

そして今も誰にも声をかけれていないわけで…
このままでは友達ができなくなってしまう…


『ご主人さま、ファイトですよっ!』


…唯一の友達は他人事と言わんばかりの満面の笑みで応援している
あぁ、君もこの恐怖を味わってみたらそんなこと出来ないだろうに…

そう内心ハルに毒づいていると、目の前に人が来た


「ねぇねぇ、君って入試受けて入った子?」


声をかけてきたのは男子だった
チェリーブラウンの綺麗な髪は後ろは短く横髪は少し長い髪型をしていて
瞳もチェリーブラウンだ
この男子も中々中性的な顔立ちをしている


「ぁ…う、うん…」


「やっぱり?見覚えのない顔だと思った」


口ぶりからして初等部の頃からこの学園にいる子の様だ


「僕は桜ノ宮 綾、君の名前は?」


「え、えと…僕は神崎 琉祈亜…」


「神崎さんか、よろしくね」


桜ノ宮君はニコッと笑うと握手しよっ?と手を差し出してきた
特に断る理由もないため、恐る恐るといった形だが握手を交わした


「ひょっとして、人見知りだったりする…?」


「ぁ…ご、ごめんなさい…」


思わず後込みすると、慌てたように首を振りながら苦笑していた


「責めてる訳じゃないよ!?えっと…その…嫌な思いさせてたらどうしようかなーって思っただけ」


それから彼は友達に呼ばれて戻っていった
…中学生であそこまで気遣いできるのは珍しくないかな?
え、普通なのかな…
ま、いいか…


『ご主人さま…なんだか嬉しそうですねっ』


安心したようなハルの呟きに聞こえないフリをして、握手を交わした手を見ていた