春、僕はめでたく春日森学園中等部に進学した

春日森学園とは、小学・中学・高校・大学一貫の所謂お坊っちゃま学校

しかしその入学条件は、"学園に才能を認められた生徒のみ"といういたってシンプルかつ難題なものだった

毎年何百万人もの生徒がアプローチをかけるも、入学を許可されるのはほんの一握り

僕なんかとは無縁だと思っていた

僕は神崎 琉祈亜、中等部一年生

小学校はいたって普通の市立小学校で、両親がお金持ちと言うわけでもない

ましてや、人見知りで気弱な僕が国内屈指の進学校で天才校の春日森学園にアプローチをかける訳がない

だが、うちに届いた厚手の封筒にはしっかりと入学許可書と手続き書類が同封されていた

"神崎琉祈亜殿、貴殿の噂は常々耳にしております。つきましては進学先に春日森学園をご検討頂けないでしょうか"


「僕…人に誇れる事なんてないよ…」


ため息混じりに呟いた一人言は弱々しくも消えていった