「ごめんね、こんな夜中に連れ出したりして親御さんとか心配するかな?」

「…ううん、家族はあんまり帰ってこないから大丈夫だよ。」

彼の表情は曇る。

私うまく笑えてなかったのかな…

山の木々が沈黙を破ろうと申し訳なさそうに揺れる。

「怜ちゃんは家に一人なのかな…寂しくないの?」

前を向いたままぽつりと呟いた。

なんで不破間君に関係ない余計なこと言ったんだろう。

しなくていい心配してるんだろうな。

優しいから。



「怜ちゃん、寂しくなったらまたこうやって星を見に行こう。僕なんかで寂しさ紛れるかわからないけど、ね!」

「ありがとう、不破間君となら寂しくないよ。」

ちょっと泣きそうになっちゃって

ばれないように目をこすった。

「やっぱり誰かと来るとすぐ着くね。

さて、望遠鏡準備するか!

怜ちゃんはこれ使ってね。」



「女の子は身体冷やしちゃダメだからね。いくら夏とはいえ、寒いからね。」

優しいことばとともにブランケットを手渡してくれた。