それでも緊張するって……と心の中で小さく溢していると、裏道を抜けて、少し大きな通りに出た。
「あれ」
斎藤くんはわたしたちの方を向いて大きな建物を指した。
そこにあったのはいかにも高級そうなマンション。
「なにあれ」
結愛ちゃんが口を開けたままそのマンションを見上げていた。
「尚の父さん、どっかの会社の社長らしいんだよ」
「えぇっ!?ちょっと瞬!!早く言いなさいよ」
結愛ちゃんが瞬くんの背中を叩く。
「いってぇー」
そう言いながらも大きく口を開けて笑う瞬くん。二人とも仲良いなぁ……。羨ましい。
「何でお前がいんだよ」
微笑ましく二人を見ていると、急に背中を震わすような低く冷たい声がした。

