一生に二度の初恋を『あなたへ』



顔からして怖そうなんだけど……。

「あっ大丈夫だよ。なっかの毒舌と人相悪いのは生まれつき」


わたしの考えが分かったのか佐々木くん……あ、じゃなくて瞬くんがフォローする。



「中曽根。もう会うことないだろうけど、よろしく」


……ムスッとして眉間にシワが寄ってる。


空気が重くなったのが分かるし、『なっか』って呼べる雰囲気の人じゃないよ。

なんでこの人はこんなに怒ってるの?



やっぱりわたしには男子は理解不能かもしれない。



「陸上部朝練ないからさ、なっかと瞬と誘って走ってたんだ」


そんなことは気にせずに明るい声を出す斎藤くんは、ついこの前陸上部に正式に入部した。


仮入部のときから楽しそうにしてて、入部してからは放課後になるとすぐ走って教室を出て行く。


そんな後ろ姿を見ているとわたしも何だか嬉しくなった。



「――じゃあ俺たちまだ走るから。また学校で」


瞬くんはお辞儀をして、中曽根くんは無言で遠くなっていった。