一生に二度の初恋を『あなたへ』



今日は、補習という名の登校日。


夏休みがつい数日前に始まった中、成績が悪くなくてもわたしたちは全員学校に行かなきゃいけない。


だから会えるのは学校だと思ってたんだけど…。



わぁどうしよ――突然のこと過ぎていつも以上にドキドキする……。



「尚、お前いきなり加速しすぎ」


何も言えずにいると、後ろから追い付いた男子二人が息を切らしながら斎藤くんの肩を掴んだ。


「おっ……と」

「あれ、この女の子は?」


「あ――わたし高梨優って言います。斎藤くんのクラスメイトです……」



遠慮がちに自己紹介してみた。


……何の根拠もないし失礼なのも承知なんだけど、やっぱり男子は緊張して怖くなる。


「あっそう。だから?」とか絶対言われるって、もしくは心の中で呟かれてる。

目を見ないようにと、視線をそらすと、意外にも何て言ったら失礼かもしれないけれど、優しそうな声が聞こえた。