教室のドアを開けると、いつものようにたくさんの人が斎藤くんの周りに集まっている。
「お姫様抱っこめっちゃかっこよかったよねー」
「あっ、お姫様の登場だぞー、王子様」
そんな声がして、一気にみんなの視線がわたしに集まった。
「え……えっ」
「きっ気にすんな高梨!!こいつらがバカなこと言ってるだけだから」
えっと、これは……。
わたしが斎藤くんにお姫様抱っこされてたってこと⁉︎
いや、でもさすがに斎藤くんが俵かつぎで運ぶとも思えないけど……。
うわぁ……想像すると嬉しいやら恥ずかしいやら。
「高梨さんが倒れたとき、尚がバスケの試合中だって言うのに『高梨!!』って叫んで一目散に駆けつけたんだよー。
もぉー先生より速くてびっくり」

