斎藤くん、沢山の人と何回も走ってるけど、全部勝ってる気がする。
その中には陸上部も混ざってたはずなんだけど……。
何回か走ったぐらいでバテて倒れるようなわたしなんかと大違い。身体の作りを見てみたいものだよ。
「なーに斎藤くんと喋ってたのっ!!」
「わっ」
今度は保健室のドアが急に開いてニコニコしながら駆け寄ってきた結愛ちゃんは、わたしと同じ目線になるように膝をついた。
さっ、さっきから驚かされること多いなぁ。わたしの寿命縮んじゃうよ……。
「えっ…と普通に何か心配?されただけだよ?」
「ふーん……。ねぇ。優って斎藤くんのこと好きなの?」
「え!?」
結愛ちゃんから恋愛の話を聞くのは初めてで――というか唐突なこと過ぎて、狭い保健室の中に大きな声がまた響いた。
でも真剣な眼差し。少し色素が薄めの茶色がかった目は綺麗で、吸い込まれそう。
色々な男子と仲は良いけど、いつもどこか一線を引いる結愛ちゃん。
だから恋については、てっきり興味なしかと思ってた。
もしかしたら今もそんなに興味がないのかもしれない。でもそんな結愛ちゃんがわたしの恋のことを聞いてくれてる。

