「え…と、サボり?」
「んなわけないだろ。高梨が心配だったから来たの。察しろよなー。
俺がここまで運んできたんだけど――ま、あんな状況だったし覚えてないか」
「うん。全然覚えてない……」
あれっ、ということはわたしが斎藤くんに持たれたということで……。
どっ、どうしよ。
もうちょっと痩せとけば良かった……絶対デブだと思われてる。
なんてことを考えるのは助けてもらった身で図々しいだろうか。
「ごめん――重かったでしょ……?」
「全然。めっちゃ軽かった。高梨ちゃんと食べてる?」
「たっ、食べてる……」
「そっ。気を付けろよ」
斎藤くんはまたじっと食い入るようにわたしを見た後、少しの沈黙があって、グラウンドに戻っていった。
え、さっきから何だろう。わたしの顔になんか付いてたのかな。
斎藤くんが去った後の窓は全開だった。
わたしは起き上がってまだ水溜りのあるグラウンドを見つめる。そこを避けて作られた走るコース。
そんなことするぐらいなら体育館でやればいいのに……って思うけどここ最近雨が続いてて測定できないと先生が嘆いてた気がする。

