斎藤くんには沢山、感謝してることがある。
伝えることに対して、少しだけだけど積極的になれた。きっかけをくれた、変わっていこうと思えた。
それなのに、ごめんなさい。
傷つけてしまう。
でも春さんはこの街にはいないってことをわたしは伝えないと、いけない。
教室のドアを開ける。
そこには斎藤くん一人が残っていて、椅子の背もたれに大きく寄りかかりながら黒板を眺めていた。
「みんな……は」
「帰る人は帰ったし、部活ある人は行った。
俺も入りたいな……陸上……」
「良いと思う陸上部。強いらしいし、やりがいもあるんじゃないかな。わたしは部活…入ってないけど」
「入んないの部活?」
「勉強頑張りたいから…」
特に何が得意とか好きとかそういうのないし。それにお母さんのためにも良い大学に行くっていう目標もある。

