驚いた顔で、一斉にみんながわたしを見て、わたしは注目の的になった。
うわ……どうしよ。そんな滅多なことでもないのに大声出して、説明しないと後には引けないよ。
「数学のプリント、出し忘れてました」
「なんだぁ、そんなことかぁ」
クラスメイトの誰かがそう言って笑いが起こった。は、恥ずかしい……。
「バカ」
「何かやばいことでも起こったのかと思って心配した。高梨ちょっと来い」
「え?」
手招きをされて何が起こるかと思えば、いつの間にか斎藤くんの手がわたしの顔の近くまで来ていて。
もしかして、このシチュエーションは…。
そう察した瞬間におでこに小さな衝撃が走る。
「うっ」
「お仕置きだな」
斎藤くんは笑いながら楽しそうに言う。
デコピンは手加減されていて、全然痛くない。けどわたしのおでこは痛みのようなジーンとした熱を帯びた。
「お仕置きだって。くっさ!」
「こんなところでイチャイチャしないでくださーい」
クラスの人たちに冷やかされると、おでこからの熱は身体全体に行き渡り、わたしはプリントを出すのも恥ずかしくて、ファイルを丸ごと持って先生を追いかけた。
「ちょっ、ちげーよ‼︎」
教室から斎藤くんが慌てた口調で否定している声が聞こえる。

