「ママ…?パパ……?」
「ごめん起こしちゃった?」
「ううん。トイレ」
「じゃあ一緒に行こっか」
春の小さな手を握った。強く握ると潰れてしまいそうなくらいに儚い手。
春のもう片方の手は……尚が繋いだ。
あなたが生まれたのには沢山の経緯があるんだよ。
そのどれかひとつでも欠けたらあなたはここにいなかった。
だからわたしは辛い過去も悲しい過去も、全て後悔はしてない。
そして、春には。
自分を大切にしてくれてる人が沢山いることを知ってほしい。
昔から話すのが少し苦手なわたしは手紙に自分の過去を書くことで精一杯だけれど、伝えたかった。
わたしのずっと変わらない願い。
世界で一番大切なあなたが、毎日を幸せに過ごせるように。
一生に二度の初恋を『あなたへ』
《fin》