春を大切に思ってくれた人のほとんどは、後悔していた。


救えなかったことを。本当の気持ちを言えなかったことを。傷付けてしまったことを。



でも、そんなもの必要ない。



だって春は今もわたしの中で生きてる。


春は、救われた。周りの人の本音を知れた。傷付いた心を癒せたんだから。


「ゆ……う……」

笑ちゃんの涙は加速して、わたしはベッドから起き上がると笑ちゃんのサラサラな黒髪を撫でた。



春のこと、後悔している全ての人に、伝えなきゃいけない。

お父さんにも、木下にも、斎藤くんにも、悠真とわたしが呼んでいた潮波先生にも。


春を大切に思ってくれたことへの感謝の気持ちと、わたしが経験した真実を。




それからわたしは二日後退院した。


病院の人も念のため入院してもらっただけと言っていたし、春の記憶も優の辛い過去も全て受け入れたわたしはもう、頭痛に悩まされることはないだろうと言われた。



病院を出ると青空が広がっていた。


不意にスマホが震えて、久しぶりにLINEを開くと沢山のメッセージが来ていた。