自惚れだったのかな。

だってそれっぽいことは尚に何度も言われた。


『幼馴染みが一番大事だ』とか『何をしてでも春は絶対守る』とか。そんなくさい言葉まで。


あぁ……でもよく考えれば家族みたいに大事にしてくれただけかも。

『好き』とか『愛してる』とかはもちろん言われたことない。



「……大丈夫?」


程よく低い声をした声が頭の上から落ちてきて、わたしはゆっくりと顔を上げた。


「体調悪い?俺の家この近くだから休むか?」


白のシャツにジーパンのシンプルな服装に清潔感のある人懐っこい顔立ち。


危なそうには見えない、良い人なんだろうか。

良心で言ってくれてるのか、見返りを求めてるだけなのか。


二十歳過ぎで大学生と推定される年齢からはあまり考えられない落ち着きようだ。


それは演技?

あぁ、なんかもう考えるの面倒くさい。取り敢えず誰かといたい。


どうにでもなれ。


「……行っていいですか?」