「尚は隣のクラスだったから、春がどういう状況なのか詳しく知らなくて、わたしはそれを毎日のように報告してた。

助けようとしても怖くて助けれなかったことを何度も謝りながら」


「尚は慰めてくれた。だからわたしはそれに甘えて何度も話を聞いてもらった。……でもそんなことしちゃいけなかった。

春には尚しか頼れるところが無かったのに……」


そう言うと笑ちゃんの顔は曇って、悔やむようにまた花を眺めた。


ーー本当にわたしは尚しか頼れなかったのかな。

斎藤くん、お父さん、お母さん、笑ちゃん、クラスメイト。

罪の意識を抱えて助けれなかったことを悔やんでいる人のどの人にも、わたしは頼れたはず。


なのにわたしが……春が……こんなに思われてることを気付かなかった。

わたしの周りの人も不器用で、わたしも不器用だったから。誰も悪くなんてないのかもしれない。


どうやったらみんなは、罪の意識なんて背負わずに生きていけるんだろう。