「……堪えれなかったよ。春に宛てた手紙が優の家に届くかは賭け。春のお母さんは何としてでも思い出させないようにって、戸籍の名前まで変えたのに。
それでも尚のことをあなたに思い出して欲しかった。
もし思い出さなかったとしても……尚がそれで満足がいくならそうさせたかった」
「わたしは尚の笑顔を取り戻すことしか考えれないくらい。
尚が……好きだった」
雲が消えて視界がクリアになったように答えが見えた気がした。
斎藤くんのことを語る口調も表情の柔らかさも、斎藤くんの苦しみを自分のことのように感じている仕草も。
全部笑ちゃんの気持ちを語っていた。
笑ちゃん……。
笑ちゃんはわたしの名前を呼んでくれなくないね。
『あなた』と呼ばれる度に胸が痛い。
でもそれは、親友の佐藤 春と、好きだった斎藤 尚の笑顔を奪ってしまった罪だ。
「でもそのせいで、わたしが……尚のこと好きだったせいで、春から……わたしは尚を奪ってしまった」

