一生に二度の初恋を『あなたへ』



「いっ……たぁ…」

無理矢理に手を挟み込んで、血が今にも流れそうなくらいの激痛が走った。


「……っ」


お父さんはわたしの手を一瞬見て顔を歪ませると諦めたようにドアノブを離して、中に入っていった。

手を眺めると、内出血して青いグロテスクなあざができていて、気持ち悪い。



「……お邪魔します」



元は自分の家だったのにな。

何もかもが違って見える。

廊下の端に寄せられた埃が被ったゴミ袋に、物が無くなってしまった殺風景なリビングは机が一つ置いてあるだけ。

わたしが過ごした家の名残なんてものは何一つない。


お父さんは台所からコップを取り出して机に置くと、冷蔵庫から取り出したペットボトルの麦茶を入れる。



「……何が聞きたいんだ」


わたしはその出されたお茶の前に座ると、一気にその麦茶を飲み干して答えた。



「……佐藤 春って知ってる?」

「……」


知ってるんだ…。



「教えて欲しいの。その人のこと」