現実から逃げて、見ないように目を背ける斎藤くん。
わたしが、救わなきゃ。
わたしが救わなくて誰が斎藤くんの支えに、救いになるの?
持ち手も全部びしょ濡れの傘を拾って、斎藤くんが濡れないようにするとわたしも一緒にしゃがんだ。
「まだ何が起こったか詳しく分からない。だからこのままでいても時間だけが過て後で絶対後悔する……」
「お母さんのところに、行ってあげて」
その言葉がわたしたちの終わりを告げる言葉と、諦めの言葉と知っていても。
本心でそう思うんだ。
初めて、そう思えた。
斎藤くんのお母さんにとって、斎藤くんは絶対に必要な人。
わたしなんかと比べものにならないくらいに、斎藤くんを必要としてる人がいるんだから。
それでも何も喋らず固まっている斎藤くんに、どうすればいいのか分からなかった。

