変わらずに授業も普通に受けてるし、部活にだって毎日行ってる。

わたしを送ってくれようとする余裕さえ見せる。


どこからそんな元気が来るのか聞きたいと思ったけれど、元気が来てる訳じゃなくて斎藤くんのことだから笑顔と同様に何とか作ってるんだと思う。



『わたしの隣は居心地がいい』



それはわたしが斎藤くんに重荷を背負わせるようなことを言わないから、なのかな。



ずっと嫌だった口下手がこんなところで役に立つとは思わなかった。

それでもわたしは前よりは色々なこと、伝えれるようになったんだよ?


斎藤くんが言った通りに周りの人を信じた。そしたら、不思議といつもより話せるようになった。




もう真っ暗になってしまった電車の窓には鏡のようにわたしと斎藤くんが映ってる。


「ん……」

横に倒れそうになっては起きる、その動作で触れる短い黒髪がくすぐったい。


それならよし掛かっちゃえばいいのに。安易に声をかけると起こしそうだから言わないけど。



可愛いな……頬っぺたをツンツンしたくなる。

そんなことしたら驚かれるだろうから、もちろん自制、自制。