「そういうの止めてほしい。期待するから」
息を切らせて、真剣な顔でわたしを見る斎藤くん。
「何を?わたしだってそういう思わせ振りみたいなこと、止めてほしい」
違う。こんなこと言いたい訳じゃない。
「あの日。春さんの代わりで良いと思った。それで斎藤くんの気が済むなら、いいって。でも、本当は。
わたしのこと、意識して欲しかった」
こんなこと言いたかった訳じゃないのに…。わたしの口から出てくる言葉は頭で考えたものじゃなくて心の叫びだった。
「春の代わり?どういうことだよ――…あーもう!!ちょっと来い」
斎藤くんは眉間にシワを寄せて怒っているような強さでわたしの手を引っ張り、校内に入ると次々と教室を開け、使われていない教室に入った。
周囲の人からは驚きの目で見られていたと思う。
わたし変なこと言ったかな。斎藤くんから聞けばわたしが言ってることなんて全部理解不能かもしれないけど。
「どういうことか教えろ」

