先生はまだ来ていない

ギリギリセーフである

「蕾さん、遅くてよ。
心配しましたわ」

近づいて来たのは彩乃

今では蕾の親友である

「ごめん」

エヘヘと笑う蕾

「笑い事じゃ無いだろ」

息を整え困った様に蕾を見る秀哉

蕾は、また笑った

「もう蕾さんは相変わらずトロくてね。
大体なんで初騎さんと一緒に来ないんですの?」

彩乃は不思議そうに聞く

「うん、掃除が終らなくて沙紀叔母様に怒られてて…
だから初騎君先に行っちゃったみたい」

苦笑する蕾

「そうなの…
あら?まだ沙紀おば様のお弁当なの?」

蕾の手提げ袋の中身を見て驚いた様に言う彩乃

「うん」

蕾は、また苦笑

すでに慣れて、胃は痛くならないが
沙紀には、敢えて言わないでおいた

嫌がらせの積もなのだろうから

「おー何時まで騒いでいるんだ座れ〜」

ガラーと前の扉が開き
先生が入って来た

慌て席に戻るみんな

教室は直ぐに静かになった。

先生に呼ばれ、一番前の端の席の人が号令をかけて挨拶をして席に座る

先生は、いろいろと連絡事項を話し始めた。

蕾は、ちらっと斜め後ろに目をやる。

初騎は、あから様に机にうつ伏して寝ている