「ハッ!
ゴメン忘れてた」

確かめることしか頭になくて
初騎をツイ忘れてしまっていた蕾
鹿正直に答える

「忘れて…おまっ
もう良い」

完璧に機嫌を損ねてしまった初騎はソッポを向く

「ゴメンって本当」

蕾は、慌てて機嫌を取ろうと初騎の顔を覗き込む

「じゃお詫びして」

初騎は言うと蕾を見た

「お詫び?
何したら良いの?」

蕾は初騎を見上げた

「何でもするな?」

初騎に聞かれ

「うん何でもっ…」

蕾は言い掛けて止めた

初騎の意地悪っぽい笑いに気付いたから


何だ

このお約束の展開は



蕾は軽く身を引く


いや


ここは学校


しかも玄関の真ん前


ついでに今は下校時


言わずと分かる人の数


初騎君に限って…





尚都君と兄弟…




しかも似た者同士



ここには念を

「帰ったら聞くね。
私、用事が有るから先に帰ってて!」

蕾はカナリの沈黙の後に慌てて言うと
逃げる様に走り去った

「なっ!蕾っ」

初騎が呼び止めても

時既に遅し

蕾は走り去っていた

「逃げられたかぁ」

初騎は呟くと
桜井の運転する車に乗り込んだ