蕾は、キョロキョロとせわし無く回りを見渡した

どうやら一人部屋

周りに人は居ない


ガタン

扉の方を見た

ちょうど看護婦さんがお医者さんを連れて戻って来た所だった

「初騎!神宮初騎さんは?」

途端に叫ぶ蕾

「わぁ蕾さん、元気みたいですね。
これならもう大丈夫ですよ。
一応脳検査しておきましょう」

ニコッと笑う医者
そして看護婦さん達が蕾をベッドから下ろした

「歩けますか?」

問いかけて来る看護婦さんに首を縦に振った

「あの、そんな事より初騎君は」

直ぐに顔を上げ看護婦に問いかける

「まず君が先だ」

医者に言われ
でも…と顔を下げる蕾を看護婦さんが手を引き
病室を出た

何で何も言ってくれないの…

最悪の事態がリアルに頭に浮かぶ

蕾は呆然とし、診察室へと入った

レントゲンを撮る

「問題無いみたいですね」
先生は、ニコッとして蕾を見た

蕾の顔は真っ青で、いかにも大丈夫ではなさそうである

「はぁ、有難うございます」

お礼を言う声にも生気が感じられ無かった

「でも良かった君だけでも大した怪我が無くて」

医者は少し顔を落とした