梅雨の愁いに喜悦の再会
瑞夏side
今でも何処と無く嬉しくなってしまうこの梅雨の季節。
私の誕生日は梅雨にあって、昔は毎年のように梅雨を待ち望んでいた。
道端に咲く紫陽花、蝸牛、玲瓏の雫、豪雨の耳鳴り、合羽と長靴、雨で濃淡が輝く新緑の並木道。
陰湿で嫌われがちな季節でも私にとっては楽しかった思い出が色々。
もうそんな事ではしゃいでなんかいられないけど、この季節は梅雨独特の雨と空気の臭いが過去の自分を思い出させてくれる。
今年の梅雨は好調な滑り出しだ。
今となっては良い事なんて一つもないのに…
放課後、私は一人傘を差し、校庭に出た。
そして私が校門に差し掛かろうとしたその時だった。