雪紀があの2人にアップルパイを投げつけてからは、いじめはぱったりとやんだ。

七菜も、本来の明るさを取り戻しつつあった。

あの事件以来、私たち3人はよりいっそう仲良くなった。

最近では恋バナをできるほどの仲に♪


・・・・でも私の中では、やっぱり醜い感情が隠れていた。


「で、スキなんだ?海藤の事。」

私は真っ赤になった雪紀の顔をのぞきこむ。

「~~ッ そうだよっ」

普段すごくさばさばした雪紀(おかしのこととなれば別だけど)だから、こういうハナシが聞けてすごく嬉しかった。


「雪紀には海藤ぴったりだよね~」

七菜も一緒に問い詰めている。

しかし、雪紀も負けじと反撃してくる。

「なっ、七菜はどうなのよう!いるでしょ?好きな人の1人や2人くらいっ」

「いやあ~・・・」

七菜は苦笑い。

でも私は、なるべく七菜の好きな人の話はしたくなかった。




たぶん、樋口は七菜のこと、好きだから。

七菜には樋口のことすきになってもらいたくないから。


私の中では、「嫉妬」という醜い感情がふくらんでいくばかりだった。