しばらくの間は、パレードを見て私が「きゃー」とか「可愛いっ!」とか言ってるだけだった。 けど、そのうち無言でパレードに見入ってしまった。 ・・・本当、可愛いっ♪ それに、隣に樋口がいる。 暗闇にまぎれて、そっと樋口の横顔を盗み見た。 綺麗に整った顔。 パレードに夢中になってる。 だいすき。 そんな言葉で頭の中がいっぱいだった。 すると。 ―きゅっ 冷え切っていた手のひらが急に包み込まれるように温かくなった。 自分の手元を見ると、樋口が私の手を握っていた。