考え出すと止まらない。
神崎が拉致られる様子なんて容易に想像できた。
だから、余計怖かった。
最寄の自販機について、周辺を注意深く見た。
すると、自販機と壁の接着面のところに、大柄な男2人が何かを取り囲んでいた。
男の間から見えるボヘミアン調の生地。
「・・・神崎?」
さらに近寄ると、やっぱり囲まれているのは神崎だった。
手首をつかまれ、うなだれている。
必死で抵抗してるのがよくわかったが、死角になっていたせいで周りの人は誰も気付いていない。
考えるより、体が先に動いた。
「手、離してくれますか?俺の彼女なんです」



