田中くんは学校にはちゃんと来てるっぽいけど、

授業のときは毎回どこかへいなくなる。

だけどたまに気まぐれで授業に出る。

けどたいていは寝ている。

猫みたいな人だ。

だけど週一くらいでは学校は休んだ。

田中くんの姿が見えないせいか、

学級委員の仕事は大抵私に任せられる。

とんだ迷惑だ。


今日の放課後も学級委員の仕事を教室で残ってしていた。

美咲は部活があるから付き合ってくれないしひとりぼっち。


教室に誰か入ってきた。

田中くんだ。

田中くんは無言でわたしの前の席に座り、わたしのほうを無言で見ていた。

沈黙に堪えられなくなった私は

「なに?」

と言った。

そしたら、

「がんばってるね。」

って言われた。

「はぁ?あんたの仕事がわたしに回ってくるからでしょ!見てるんなら手伝ってよ!」て言い返した。

そしたら前からクスクスと笑い声が聞こえた。

いやいや、笑うとこじゃなくない?

でも笑ったら結構かっこいいかも。

田中くんのほうを見てたら目が合った。

わたしは思わず目を逸らして、

作業に集中してるふりをした。

そしたら田中くんはわたしの顔をじっーと覗き込んで、言った。

「手伝おっか?」

もともとはあんたの仕事でしょ!って言おうとしたけど、

顔を覗き込んできた田中くんが可愛くて何も言い返せず、

「...うん。」

と素直に頷いた。