「じゃあ、るいバイバーイ!」

「ばいばいルナ、稻葉君」

「あ、その呼び方やめて。
そうだね...ハルとかその辺で呼んでよ」

「え、あ...ハル?」

「そ、俺もるいって呼ばせてもらうね
じゃ、また明日」

「ば、ばいばい...」

どうしよう、俺...

名前呼んでもらっただけなのに...
「ルナの彼氏なのに...」

次の日、学校に行くと稻葉とルナが話していた。

「あ、おはよ!るい!」

「るい、おはよ」

「あ、おは...おはょ...」

「ん?るい、どうしたの?」

「な、なんでもないよ!」

ダメだ...慣れない...
女の子はみんな名前で呼んでくれた。
でも男の人に名前で呼ばれるのなんて初めてで...

『るい』

稻葉の声が...頭の中で繰り返し繰り返し...

「ぁぁぁあああああ!!!」

「るい!?どうしたの??」

「ごめ、俺...ちょっと走ってくる!!」

「え!?いきなり!?」

ダメだ、なんだこれ...
頭が真っ白になった...

「くそっ!くそっ!!」

走っても走っても苦しい。
苦しい。

息が上がる。
これ以上走ったらもっと苦しくなる...

「は...る。
きゃっは...////」

俺どうしちゃったんだよ...