「受験受験って...」
あたしは病んでいた。
だって周りが受験一色だから。

「まだ5月だよ。
高校の事なんて考えてられないよ...」

6月には定期テストだってあるのだ。
高校もテストも嫌だ。

ハルが聞いたらきっと「馬鹿だね、ルナは。今から高校に目星つけとかないと間に合わなくなるよ。」って言うと思う。

ハルはあたしの幼馴染で家が隣ってのもあって毎朝一緒に登校してる。

昔、ハルは体が弱くてすぐに入院をしていた。
その度にあたしはお見舞いに行った。
「ハル、ぐあいどお?」
「ルナ、お医者さんごっこじゃないんだから。」
あたしはハルが入院するとたくさんお花を摘んで持って行ってあげた。

おばさんはニッコリ笑ってありがとうね、と言う。
けどハルは「汚いもの持って来ないでよ、ルナ」と言う。

昔から捻くれた奴なのだ。

あたしがハルと結婚したいって言った時なんか「将来の収入が分からないから、まだ約束は出来ない」って言われた。

でも、ハルはあたしの知らない言葉をたくさん知っている。

ハルの言う言葉には全て説得力も付いてくるのだ。
一回あたしは政治家にでもなれば?と進めたことがある。
するとハルに「馬鹿だね。俺が政治家になれるならルナもなれるよ。それに、自分がしたい仕事しないと続かないでしょ」って言われた。

確かになって思った。

あたし達は人の決めた道なんて歩きたくない。
自分で切り開いてでも新しい路を通るのだ。
自分が正しいと思う道以外は通るつもりがない。