李玖side
目の前にあれだけ想っていた愛しい人がいる
なのに
「李玖？」
「あ…………何？」
「だからまた会えないかな」
「あぁ」
真奈と居るのに脳裏に浮かぶのはあいつ
「…………李玖変わったね」
「は？」
変わった？
何が？
高校の時と変わらない
相変わらず真奈が好きで
仕事に追われ
彗に怒鳴られる
何も変わらない
「雰囲気だよ」
「雰囲気？」
「何だか前より人に対して角が立ってる」
「喧嘩売ってんのか？」
「あははっ違う違う」
真奈はふぅと少し息を吐いて
「私だけが李玖の特別だったのに」
小さく呟いた
真奈だけが特別
それは今も変わらない
