杉浦くんの手と私の手。

手紙貯金。


それはこの学校で流行っているおまじないみたいなもの。


流行っていると言うよりも、約束事みたいなもので、男女関係無くみんながしている。


授業中に交わした手紙をお気に入りの封筒に貯めていく。


封筒の中いっぱいに手紙が溜まったら、一つお願いが叶う。


そんな可愛らしいおまじない。


みんなは小学生の時からしているらしく。


だから私も転校して来てすぐに始めた。


私は嬉しそうに笑って言う杉浦くんを見て、つられるように笑って言った。


「残念。今日のは杉浦くんに譲るよ」


「はーっはっは!!お前はトロいからな!」


他の人に言われると傷つく言葉も、杉浦くんに言われると何故か温かさを感じ嫌にならない。


杉浦くんは小さな子供みたいに喜びながら、制服の裏ポケットから封筒を取り出した。


白地にピンク色の可愛らしいウサギの絵が書かれた封筒。


これが杉浦くんのお気に入りの封筒の『ウサギさん』だ。


杉浦くんがこの封筒を、ウサギさんっと呼んでいるから私もそう呼んでいる。


ちなみに私の封筒は、青地に黄色い星がちりばめられた封筒。


青空に黄色い星が浮かんでるみたいで、そこが気に入っている。