杉浦くんの手と私の手。

いい気味だ!!


私は微笑んで杉浦くんに歩み寄る。


杉浦くんは子犬が歯を向くように、私を睨みながら言った。


「…最後のバケツはやり過ぎだろ」


「ふーんだ!私なんか髪の毛かわいたらふくらじゃうんだから!!お互い様です!!」


にっこり笑いながら言った私に、杉浦くんは呆れたように微笑んで私の頭をぽんぽんと叩いて言った。


「しかたねーな。今回だけ許してやる!」



無邪気に笑う杉浦くんを見て、私もいたずらっ子ぽく笑って見せた。


「おーい。お前らが許しても、俺は許さねーぞ」


私と杉浦くんは同じタイミングでビクッと肩をふるわした。


そしてお互い顔を青くして後ろを見る。


そこにはスーツをビシッと決めた、若いお兄さんが微笑んでいた。


私と杉浦くんは、苦笑いを浮かべて言った。


「「あやちゃん…」」


あやちゃんっと呼ばれたお兄さんは、メガネを押し上げて笑いながら言った。


「ん、ん。お前らはまず俺のことを先生と呼ぶところから始めるか?あん?」