今まで黙ったままだった私は、微笑んでいた顔を無表情に変えて口を開く。


「杉浦くん…」


「な、なんだよ?」


杉浦くんは怪訝そうに眉を潜めて、変な構えをとる。


…誰もいきなり回し蹴りするわけじゃなし。


私はそんな杉浦くんの格好を心の中で笑って言った。


「ギャップ萌え。て、知ってる?」


「え、…は?」


杉浦くんは当てが外れたのか、意味のわからない構えをやめてポカーンとした顔で私を見る。


私にとって杉浦くんとは、まさに『ギャップ萌え』の対象だ。


変な意味じゃない。


ギャップ。


杉浦くんのギャップはすごく面白い。


不真面目そうに見えて真面目で。


カフェオレっぽいのにイチゴミルクで。


クールそうに見えて実はすごく子供っぽい。


杉浦くんには素敵なギャップが盛りだくさん。


そんな素敵なギャップは、杉浦くんの個性。


杉浦くんの個性は魅力。


チャームポイントだ。


杉浦くんは個性の塊。


つまりは魅力の塊であり、素敵の塊でもある。


私には個性もなければ魅力もなく素敵なモノもない。


私はだからこそ杉浦くんのギャップに萌える。