「真っ赤、だね。」
そう言って笑った彼女も真っ赤だった。

「誰のせいだよ。」
彼は真っ赤になりながらそうぼやく。

「何か言った?」
どうやら聞き取れなかったらしい。彼女は風になびく髪を抑えながらたずねた。

「別に。」
彼はそっけなく答える。

彼はそれだけで幸せだった。