次の日
瑞希の気分はある程度回復していたが、体力的には沈んだままであった。
しかし、このまま行かなければ気持ち的に負けるような気がし、必死の思いで学校へ向かう。決して誰かのせいではないのだと、彼女は自分に言い聞かせる。

学校へ行くと、自分のクラスにはまだ人がいなかった。そのことに安心し、ゆっくりと荷物の整理を行い、課題を開く。
そう、やっていなかったのである。
まだ朝礼まで時間はあるので、充分間に合うだろうと彼女は思った。

その時、ガタリと後ろの扉が開く。
誰だろうと思って振り返るが、すぐに課題に向き直った。

「おはよう」
「自分の教室に帰ろうか相原くん」
「朝からひどい」

何故こんな奴に朝から絡まれなければならないのだろうと、瑞希はこめかみの辺りを抑える。
しかし無視をし続ければいい話だと察し、彼女はペンを走らせる。単語を1つづつ書いていく。

「それで、昨日の俺の告白はどうなった?俺、結構緊張したのに」

何か言っているが、気にすることはない。

あ、ここの綴りいつも間違えると、瑞希が筆箱へ手を伸ばした瞬間

「あっ……!」

相原は、彼女のよりも高いことを利用して、巧みに筆箱を自分の所有物とした。