ペタ…ペタ…ペタ…。

僕らの足音がしんとした廊下に木霊する。

はぁ………なんで僕がこんな目に合わないといけないんだ!

今ごろ体育館では、僕らの入学式が行われてるんだろうな。

はぁ……。さっきから何回もため息ばかりついている気がする。

「なんだかここらへん、薄暗いわねぇ」

亜紗倉さんはこんな状況だというのに脳天気な声をあげる。

「そーですか?亜紗倉さんの気のせいじゃ」

そう言いつつも、確かに、さっきから薄暗い気がする。

「むぅ。ハルカってば、さっきから私のこと『亜紗倉さん』なんて他人行儀にも程があるわっ!」

そう言って亜紗倉さんは頬をふくらませた。

そっちが馴れ馴れしすぎるんですっ……と、心の中でツッコむ。

「お願いっ私のこと名前で読んでみてっ!ねっ?」

少し上目遣いに大きな目をキラキラさせる。

ううっ。やっぱり僕はこの顔に弱い。

「凛華………さん…」

し、死にそうなくらい恥ずかしい……。

穴があったら入りたいとはまさにこの状況だ。

そして、ふと凛華…さんを見ると、なぜか顔をりんごみたいに赤くしていた。

「り、凛華…さん?どーしたんですか?」

彼女ははっと顔を上げた。

「も、もうっ!ハルカのバカ。もう知らないんだから!」

え?なんだいきなり。