「止めてくれてありがとう」


一応礼は言っておく。

きっと助けたのは私のためとかそんなんじゃないんだろうけど。



「ゆずちゃんって、本当狼みたいだね」


ははっと碧くんは笑った。


すると碧くんの隣にいた男の子が口を開く。



「この子、つえーな!」


さっき無神経に私のことを「なぎさを突き飛ばした子」と言ったチャラ男だ。



「本当、狼って言葉似合うよ!」


がははと笑うその人を見て、この人は気楽な人なんだと直ぐにわかった。



「平気な顔して人を傷つけるあなたたちの方が、よっぽど狼よ」


私はまた可愛げもない言葉を言って、碧くんたちに背を向けた。



「行こう深月」

「うん…」