手をのばす

私たちは、沢渡の店の近くにあるラーメン屋に行った。


「ほんとにここでよかった?俺は今日めちゃくちゃラーメンな気分だったんだけどさ、つき合わせちゃって悪かったかな」

早速餃子をほおばってから沢渡はもごもごと言った。


「ううん!一人じゃなかなかこういうところって入りにくいし、よかった」

私は本気でそう答えた。

「それに、ラーメンを勢いよくずずってやると、元気出る気がしない?ハフハフあつくってさ、こう、なんていうかパワーが湧いてくるような感じ」

わずかに沈黙してから沢渡は続けた。




「江崎さん、泣きそうな顔してたからさ」

「・・・・・・」


私は黙り込んだ。