手をのばす

その一文で、私はすっかり気が滅入ってしまった。

いやな予感が頭いっぱいに広がってくる。




沙耶が私から離れていってしまう?

私以外の誰かと、私よりも親しくなってしまう。


私はまた、孤独になる・・・。




そんな恐怖にも似た感情に襲われて、もうじっとデスクに座っていることなど出来なくなった。


誰にも挨拶せず逃げるように、早足で会社を出た。