手をのばす

「沙耶といたから私変わろうとできたのに、それがわかっていたのに、沙耶のこと全然分かろうとしなかった。私こそ、本当にごめんね」

最後の方は涙声になって、バーの空気に揺れて消えた。

沙耶は私の背中に手を置き、そっとなだめてくれた。

涙がこぼれるのを必死に抑えていた。

沙耶は何も言わず私が落ち着くのをゆったりと待っていた。



「ごめん。沙耶のが年上みたいだね」

鼻をすすって、私は苦笑いした。


沙耶もくすくすと
「そうね」
と笑っていた。