手をのばす

同じような境遇だったことは、知っていた。

でもここまでの切迫する想いは、知らない。

もし知っていたなら、今ここにいる私たちは、違う境遇に立っていたのだろうか?



たまらず私は白状した。


「ごめん!私沙耶の携帯盗み見したの。沢渡くんとどんな関係なのか、どうしても気になって。本当にごめんなさい!」

わずかな沈黙の後、沙耶は穏やかに答えてくれた。

「それは私がけしかけたから。由紀子は悪くないよ。私こそ本当にごめん。変な独占欲ばっかりで・・・・・・」

今度は私の独白だった。


「でも私もそうだったの。沙耶が友達と旅行に行ったって聞いたときも、どうしても喜べなかった。自分は変わりたいって思ってたくせに、沙耶が変わろうとすることを許せなかったの」

せきを切ったように、言葉があふれてくる。

心に、頭に、口の中に。