手をのばす

沙耶はふっと笑いながら言った。

「本当は、今度もうだめだったら、死んじゃおうかと思っていたの。本気で。本当に何もかもやり直すつもりで、この会社に入ったの」


「沙耶・・・・・・」

「小さい頃からいじめられてばっかりで、何度も自分の存在を恨んで。ひどいいじめもあったんだ。何をやっても友達なんてできなかった。でも学校が終われば、っていつもカレンダーに×印つけて、一日が無事に終わるとほっとして、の繰り返しだったの」


痛いほどわかる。

沈黙で同意する。


「だから会社ですぐ由紀子と仲良くなれて、本当に嬉しかった。死ななくてよかったって。でもそう思うと、失くすのが怖くて・・・・・・。うまく距離が取れなくなっちゃった。由紀子はちょっと迷惑だろうなって、本当は気づいていたの」



「迷惑なんて、そんな」

「隠さないで。もういいの」

確かにそう思うこともあった。

でも、それだけじゃなかった。