手をのばす

あの人が。


確か小さくてかわいらしくて、そんな女が私の男に手を出すなと言う。

激しい想いを知る。

そんな想像は思いもよらなかった。

私にはそんなことができるかなと、ぼんやり思った。


「ごめん、こんなこと言って。でもどうしても、あんなやつと付き合って欲しくなくて、由紀子にも沢渡さんのこと好きなふりした。それは、逆効果だったみたいだけど。本当にごめんね」



うつむきながら沙耶は呟いた。