手をのばす

沢渡の皮膚の感触を確かめながら、そっと尋ねた。

「ねえ、沢渡くん」

「ん?」

「私たち、付き合っているんだよね?」



少し沈黙があった。

根気強く返事を待つ。


やがて沢渡がわずかに頭を上げ、首の後ろで腕を組んだ。


「好きだよ」

一瞬喜びかけたものの、ふと思う。



それは答えになっているの?

「付き合っている」って、宣言してはくれないの?

せめて、ここで抱きしめてくれたら、素直に信じられるかもしれない。


でも、沢渡の腕は動かない。

じっと待つ。


やっぱり私の体は彼から締め出されたままだ。