Candy House

子供の頃からずっと伸ばしている腰まである黒髪は、確かに自分でも珍しいとは思う。

でも今の今まで切りたいとは思わなかったし。

「ロングヘアーの女の子は好きだよ?」

安部さんがそう言って、
「きゃっ」

あたしの背中に両手を回してきたと思ったら、抱きしめてきた。

「安部くん、抜け駆けしないって言ったじゃんか!」

上野さんが何クソと言うように、あたしの後ろに回ると前の方に両手を回してきた。

えっ、ちょっと待って!?

あたし、前からも後ろからも抱きしめられてるってことだよね!?

「2人共、何やってるの!?」

悲鳴かと思うくらいの八束さんの声に、
「あ…まだいたのか」

上野さんが気づいたと言うように呟いた。